AI検索では、利用者の質問に対し、複数の情報を基にした回答が表示されます。海外の見込み客がGoogleのAIモードやChatGPTで製品や依頼先を比較するとき、企業サイトが回答の参照先になることもあります。自社の対応を検討する際は、検索順位に加え、社名や製品がどのように説明され、どのページが引用されているかを確認する必要があります。
GoogleのAIによる概要(AI Overviews)とAIモード(AI Mode)は、利用方法や回答の表示が異なります。ChatGPT、Claude、Perplexity、Grokのウェブ検索も、同じ条件で情報を取得するわけではありません。この記事では、各機能の違いと2026年の公開データを紹介し、日本企業の英語サイトで何を見直すか、公開後の効果をどう測るかを解説します。
AIモードとAIによる概要の違い
AIによる概要は、通常のGoogle検索結果に表示される要約です。AIモードは、追加の質問を重ねながら、比較や調べものを進めるための検索機能です。日本語のAIモードは、2025年9月9日から順次提供されています。
| 項目 | AIによる概要 | AIモード |
|---|---|---|
| 利用する場所 | 通常の検索結果の中 | AIモードの画面 |
| 主な使い方 | 質問やテーマの要点を把握する | 条件を伝え、追加の質問で比較・検討を進める |
| サイト側の確認 | 要約で自社の情報がどう使われているか | 会話や条件の変化に応じて、自社が候補に残るか |
AIによる概要とAIモードでは、関連する複数の検索を行う「クエリファンアウト」が使われることがあります。質問をいくつかのテーマに分けて情報を探すため、通常の検索語と同じ情報だけが参照されるわけではありません。また、回答や引用先は両機能で異なり、AIによる概要に採用されたページがAIモードでも使われるとは限りません。
例えば「工場の点検ソフトで、日本語と英語に対応し、既存システムと連携できるもの」という質問では、製品概要、対応言語、連携条件など、複数の情報が比較に使われます。企業サイトに対応言語や連携条件を明記しておけば、顧客が導入の可否を判断しやすくなります。社名や製品名の繰り返しよりも、質問に答える具体的な説明が必要です。
2026年のデータから、利用規模とクリックの変化を見る
AI検索の利用者が増えても、回答を読んだ人が参照先のサイトを訪問するとは限りません。利用規模を把握する数字と、企業サイトへの流入を評価する数字は分けて考えます。以下の表には、主な公開データと、それぞれの公表時期、調査対象を掲載しています。
| 指標 | 公表された数値 | 時期・対象 |
|---|---|---|
| AIモードの月間アクティブユーザー | 10億人超 | 2026年5月19日公表、世界全体。Googleの発表値。 |
| AIによる概要の月間ユーザー | 25億人超 | 2026年6月3日公表、世界全体。Googleの発表値。 |
| AIモードの質問の平均的な長さ | 通常の検索の3倍 | 2026年5月19日公表、米国での利用。 |
| AIによる概要がある場合の、検索1位のクリック率への影響 | 推計58%低下 | 2026年2月4日公表。30万キーワードのデスクトップデータで、2023年12月と2025年12月を比較。 |
Ahrefsの「58%低下」は、AIによる概要がない検索でのクリック率の変化も考慮した推計です。日本の自社サイトの流入を予測する数値や、AIモードの影響を示す数値としては使えません。Googleが公表したAIモードとAIによる概要の利用者数にも重複があるため、両者を足し合わせて市場規模を計算することはできません。
利用者の行動を調べた別の例では、米国成人900人の2025年3月の閲覧データで、通常の検索結果へのクリックは、AI要約がある場合に8%、ない場合に15%でした。Pew Research Centerが2025年7月に公表した調査で、日本のBtoB検索を測ったものではありません。
検索結果に情報が表示されることと、サイトへの訪問につながることは別々に評価する必要があります。ここで紹介した調査の数値をそのまま自社に当てはめず、引用の有無、参照先への訪問、問い合わせまでの行動を記録してください。訪れた人が製品を理解し、相談へ進めているかまで追うことで、営業につながる効果を確認できます。
ChatGPT、Claude、Perplexity、Grokで確認すること
各サービスで表示を調べる際は、ウェブ検索を使った回答と、検索を使わない回答を区別します。回答に社名が含まれていても、自社ページを取得・引用した結果とは限りません。比較のためには、質問内容、検索の利用状況、参照先URLをそろえて記録する必要があります。
ChatGPT:検索の引用元と掲載内容
ChatGPTのウェブ検索は、外部情報を調べ、参照先へのリンクを添えて回答する機能です。サイト側では、検索用のOAI-SearchBotが情報を取得できるかが確認項目になります。robots.txtの設定だけでなく、サーバーやCDNでアクセスを遮断していないかも、サイト管理者と点検します。
OAI-SearchBotは検索用、GPTBotは学習用で、アクセスを許可する目的が異なります。検索への掲載は認め、学習への利用は制限したい場合もあるため、用途ごとに設定を確認してください。回答を調べる際は、社名、製品仕様、引用先を記録し、自社が公開している説明と一致しているかを比較します。
Claude:ウェブ検索の設定と比較条件
Claudeは、ウェブ検索を有効にすると、必要に応じて外部情報を検索し、引用を添えて回答します。ただし、すべての質問で検索するとは限りません。改善前後の回答を比べる際は、設定と実際の検索利用を記録し、条件の違いが比較に混ざらないようにします。
サイト側では、Claude-SearchBotとClaude-Userのアクセスを確認します。前者は検索用、後者は利用者からの依頼に応じた取得用です。学習用のClaudeBotとは用途が分かれています。
Perplexity:質問と引用ページの対応
Perplexityは、ウェブ情報を調べて引用付きの回答を返すサービスです。引用されたかどうかに加え、どのページが何の説明に使われたかを確認します。例えば、製品比較の質問で会社概要だけが参照されているなら、製品の用途や導入条件を説明するページがあるか、必要な情報を読めるかを点検するきっかけになります。
検索用のPerplexityBotは、基盤モデルの学習用クローラーとは異なります。公式に公開されている識別情報を使い、アクセスの可否をサイト管理者と確認します。
Grok:ウェブとXの公開情報
Grokは、質問に応じて公開されたX投稿とウェブを検索できます。そのため、公式サイトだけでなく、Xに残っている製品名や提供条件との一致も確認対象になります。仕様変更の際は、変更日や旧仕様との違いを分かるように公開し、回答を調べる際には参照された情報の時期も確かめます。
公式サイトとXで説明をそろえることは、顧客の誤解を減らすためにも役立ちます。古い投稿を参照した回答が出た場合は、現在の製品ページや更新情報へたどれるかを確認し、公開情報の更新漏れを修正します。
Googleがページを取得できる状態にする
GoogleのAIモードやAIによる概要で、参照先の候補になるには、ページがインデックスされ、スニペットを表示できる状態である必要があります。通常のSEOの基本が適用され、AI専用の構造化データやllms.txtは必須ではありません。
- 公開したいページを、robots.txtやCDNの設定で意図せず遮断していないか確認します。
- 製品の説明や仕様を、画像の中だけに置かず、本文のテキストでも読めるようにします。
- 関連ページへの内部リンクを設け、用途の説明から仕様や問い合わせ先までたどれるようにします。
- 構造化データを使う場合は、画面に表示される情報と一致させます。
例えば、PDFのカタログにしか対応規格が書かれていない製品なら、製品ページにも規格名と適用条件を掲載します。検索への対応と同時に、訪問した担当者が導入の可否を判断しやすくなります。
海外向けのページで説明すべき内容
日本企業の英語ページには、国内の読者なら分かる前提が残ることがあります。「国内で多数の実績」という説明だけでは、海外の担当者が自分の地域でも利用できるか判断できません。
製品ページでは、誰が何に使う製品かを最初に説明し、対応地域、導入に必要な条件、利用できない用途を具体的に書きます。比較表を作るなら、各項目の意味と、仕様を確認した日をそろえます。実績は、顧客の許可を得て公開できる範囲で、導入前の課題と結果を説明します。
ページに何を書くかを検討する際は、営業担当者が受けた質問と、現在の説明を比較します。「既存の設備を交換せずに使えるか」「海外拠点のサポートは何語で受けられるか」など、導入前に実際に尋ねられた内容を英語でも説明できるかを確認してください。質問に答えていない箇所が分かれば、補うべき仕様や条件を絞れます。
AIで英語の下書きを作る場合も、製品資料と用語集を用意し、誰に何を伝える原稿かを指定します。資料にない社内事情や、顧客の判断に必要な条件は、AIだけでは把握できません。製品担当者が仕様を確認し、英語の書き手が原文の意味を保っているか、読者に伝わるかを点検する工程が必要です。MacroLingoの英語コピーライティングでも、資料を読み、読者の疑問と説明する内容を確認してから原稿を作成します。
第三者の記事や専門媒体での説明も、社外で事実を確認できる資料になります。海外PRと英語コンテンツを組み合わせる場合は、AI検索に向けたPRの記事も参考にしてください。
AI検索の効果を測定する4つの指標
AI検索への対応を評価する際は、社名の言及、引用リンク、サイトへの訪問、問い合わせを分けて測定します。それぞれ、認知、参照、流入、営業成果に関わる指標であり、一つの数字だけでは施策全体の効果を判断できません。主な記録項目は以下のとおりです。
| 確認するもの | 記録する内容 |
|---|---|
| 社名や製品名の言及 | どの質問で候補に挙がったか。説明に誤りがないか。 |
| 自社ページへの引用リンク | 引用されたURLと、そのページが支えている説明。 |
| サイトへの訪問 | 参照元、訪問したページ、問い合わせまでの経路。 |
| 商談につながる問い合わせ | 対象市場、相談内容、見込み客が自社を知った経路。 |
調査用の質問は、社名を含むものと、含まないものを分けます。例えば、「MacroLingoの英文校正サービスを説明して」と「日本語で相談できる英文校正会社を比較して」では、指定した会社の情報を確認するのか、条件に合う候補を探すのかが異なります。同じ質問を各サービスで定期的に確認し、日時、言語、地域、検索の利用有無、引用先を記録してください。回答は変わるため、1回の結果を固定した順位として扱わないようにします。
GoogleのAI機能からのクリックは、Search Consoleのウェブ検索の集計に含まれます。この集計だけでは、回答内の社名の言及や、引用された場面をすべて把握できません。別途、回答の確認記録と解析データを組み合わせます。ChatGPTからの流入では、リンクに付くutm_source=chatgpt.comも確認材料になります。
AIの回答で知った会社を、後から社名で検索して訪問する経路もあります。その場合、解析上の参照元だけではAIとの接点を把握できません。問い合わせ時に「どこでMacroLingoを知りましたか」と尋ねる方法などで補い、確認できた経路と推測を区別して評価します。
AI検索対策を始める際の手順
AI検索対策は、問い合わせにつなげたい製品・サービスのページから着手すると、必要な作業を絞りやすくなります。新しい記事を増やす前に、対象顧客の質問と現在のページを比較し、情報の取得状況や説明の不足を把握します。作業の流れは以下のとおりです。
- 対象市場と、見込み客が比較に使う質問を決めます。
- AIモード、AIによる概要、ChatGPT、Claude、Perplexity、Grokで、検索機能の利用状況を含めて現状を記録します。
- サイトの取得・インデックス状況を確認し、公開したい情報が読める状態にします。
- 製品の用途や制約、事実の裏付けを補い、日本語と英語の仕様を一致させます。
- 引用先と流入の変化を追い、問い合わせの内容も確認します。
改善の優先順位は、調査で見つかった問題に合わせて決めます。回答に古い仕様が出る場合は公開情報の更新状況を、候補に挙がっても問い合わせがない場合は対応地域や相談方法の説明を見直します。修正内容と、その後の回答・流入・問い合わせを記録することで、継続して評価できます。
MacroLingoの英語AI-SEOについて
MacroLingoの英語AI-SEOでは、日本企業の製品や専門性を海外の読者に伝えるため、英語原稿とサイト構成を見直します。既存ページの調査、英語原稿の作成、公開後の状況確認など、対象市場と現在のサイトに合わせて作業範囲をご提案します。
引用先の選定や検索順位は各サービスが決めるため、MacroLingoから掲載を確約することはできません。ご相談の際は、対象市場、紹介したい製品・サービス、現在の英語ページをお知らせください。お問い合わせから、優先して見直す内容をご相談いただけます。